手打ちうどんの作り方

配合割合 計量   調整   混合水廻し 粗捏ね  熟成1  本捏ね 
熟成2  延ばし  包丁切り 茹で水  茹で   水洗い  保存  

手打ちうどんVIDEO


 加水混合(水廻し)から包丁切までの 全行程通しの解説付きビデオです(所要時間19分)。 なお、工程別ビデオは各工程のリンクからご覧下さい。
全行程video 加水混合 水廻し くくり 粗捏ね 本捏ね
丸め成形 丸出し 角出し 本延し 折り畳み 包丁切り

配合

配合表 夏期% 冬期%
小麦粉 100 100
42 43
食塩 5 5

基本は、小麦粉と食塩と水の適正な割合での配合です。

 水の量は、食塩量、環境温度と小麦粉の性質(吸水力)で決まります。

 小麦粉 100%(500g)に対しては、食塩水として夏期は水 42%(210g = 210ml)に、食塩5%(25g)を溶いて使います。

 冬期は水43(215ml)に食塩5(25g)が目安です。気温が低い部屋で作業する場合は水45を目安にしてください。

加水量の加減で肝心なのは、季節の変わり目です。季節の変わり目で、急に生地の硬さに違いを感じることがありますが、 原因は生地の温度差です。

計量

 計量は、秤で行いますが、重量(g)が基本です。

小麦粉と食塩は、キッチン用の出来ればデジタル秤で計るとよいでしょう。
温度計は、生地の温度、水(塩水、洗い水)の温度を計るために必要です。 この他、室内の温湿度の記録もできればして下さい。

調整

 計量した小麦粉は、粗めの篩いで一度篩う方がよいでしょう。

 食塩水のつくり方は、適当な容器(計量カップがよい)で計量した水を匙等でかき混ぜながら、 別に計量した食塩を注ぎ込んで溶かすのが普通です。

冬期は水温が低いため、生地の温度が低く仕上がるので、塩水を加温して使って下さい。 生地温度で25~30℃を目標に25℃以上になるように食塩水を加温します。 塩水の加温は、粉の温度、ボウルの材質や大きさにもよりますが、40~45℃くらいです。 また、冷え込んだ道具類も、直接生地に触れるものは予め暖めておく配慮も欲しいところです。

混合水廻し

 鉢に計量した小麦粉(500g)を入れ、箸などで(直接手でも構いません)かき混ぜながら、 まんべんなく行き渡るように食塩水を注ぎ込みます(下写真1~3)。 このとき、鉢の底やへりに張り付いた生地もきれいに落として下さい。
(写真は、小麦粉量500gのものです)

1 加水混合 video 2 加水混合 3 加水終わり 4 水廻し video
5 水廻し(まだ粉っぽい) 6 水廻し 7 水廻し(全体しっとり手もきれい) 8 水廻しおわり

次に、鉢の中で生地を両手で挟んで揉み解し(上写真4~8)、出来るだけ均質な生地にします。 粉っぽさがなくなり全体がしっとりしてきたら、軟らかい部分に、 まだ混じっていない生地を練り込むようにして生地をまとめます(写真下1~4)。

まとめ1 video まとめ2 まとめ3 まとめ4

粗捏ね(手捏ね)

 小麦粉500g以下の生地ならば手捏ねは可能です。
全体がまとまってきたら、鉢の中で左手で生地を支えて、右手の掌の付け根の方で生地を起こして内に練り込むように捏ねます。 生地を少し回して、硬さにムラがなくなるまでこれを繰り返します (写真下1,2,3で捏ね1回)。 粗捏ねの終わり(下写真右端)の時点では、生地の表面は痘痕ですが、これで構いません。 捏ねの繰り返しは50~100回を目安にして下さい。
捏ねの要領は、この次の本捏ねでも同じです。

粗捏ね1 video 粗捏ね2 粗捏ね3 粗捏ねおわり

 この時、生地が硬いと感じるかもしれませんが寝かせておくと軟らかくなります。 可能な範囲で生地は硬めのほうがよいのです。
力不足の場合、
また、粗捏ねの段階で生地量が多くて手で捏ね切れない場合は、次で説明している足踏みで捏ねて下さい。

粗捏ね(足踏み)

 生地量が多くて手捏ねが難しい場合は、水廻しを終えた生地をビニールシートに挟み、 上から体重を乗せて足で踏んで下さい。踏むと平らになるので、生地を折り重ねて纏めて再度足踏みします。 これを続けてさらにもう一度繰り返します。繰り返しは3~4回行ってください。

 簡略工程をとれば、生地が一応まとまった時点で(写真まとめ4)、 そのまま次に説明する本捏ね工程に入ることもできます。 熟成工程を1回飛ばして、粗捏ねと本捏ねを同時に行う訳ですが、 この場合、生地のグルテン形成が進むにつれて次第に硬くなるので、急がずゆっくり捏ねて(踏んで)下さい。

熟成1(本捏ねに備えて)

 粗捏ねが終わったら、生地を適当な形に丸めて、 ビニール袋等にいれて乾かないようにして寝かせます(そのまま放置)。 夏期以外は、生地が冷えないように工夫して下さい。冬期は炬燵があれば、さらにタオル等にくるんで入れておきます。 寝かし時間は30分です。

寝かしの目的は、生地の熟成です。この場合は、寝かしによって水分が生地に馴染み、緩和現象で生地が軟らかくなります。 この結果、次の捏ねで効果的にグルテンが形成されます。

本捏ね(手捏ね)

 30分後に、寝かした生地を取り出すと、生地は寝かす前に較べて、しっとり軟らかくなっています。 そこで本捏ねに入りますが要領は粗捏ねと同じです。 生地量が少ないときの手捏ねは、捏ね過ぎに(生地が割れる)注意して下さい。 割れ始めに気づいたら本捏ねは止めて下さい。
割れ始める前に止めるために、本捏ねでの手捏ねの繰り返しは 50回を目途にして下さい。
次に本捏ねの仕上げに、折り返しと押し延ばしを小さくして10回程度捏ねて丸い餅状にまとめ(丸め)(下写真1,2)、 扁平に延ばして(下写真3)、次の延ばしに備えて寝かせます(下写真4)。

video 本捏ね
video 丸め

本捏ね終わり1 捏ね皺が中心に纏る 本捏ね終わり2 底側はなめらか 本捏ね終わり3 抑えて扁平に 本捏ね終わり4 寝かせる

生うどん中のグルテンネットワーク
 捏ねの目的は、グルテンの形成です。
捏ねで生地形成が進みグルテンの立体構造が出来てくると、 今度は捏ねにより構造に歪みが生じて、柔らかかった生地が、捏ね進むにつれて硬くなります。 これを寝かせると構造が緩み、また柔らかくなります。これは何度でも繰り返すことができます。

生地が耐えうる以上の力(変形)を生地に加えると、グルテン繊維が壊れます。 本捏ねを手で行った場合、捏ね続けると生地が割れ始めることがあります。 しかしこの場合でも、少しの時間(20分程度)寝かせて、また捏ねると回復してきれいな生地になります。

うどん生地は、パン生地などに較べればかなり硬く、手で捏ねるには力が必要で楽ではありません。 そこで、生地量が多い場合は、昔から足で踏んで捏ねる、いわゆる足踏みが行われます。

本捏ね(足踏み)

 足踏みは、生地を厚手のビニールシート等に挟んで(写真下左)、両足で生地に体重をのせて、 ゆっくり足で踏みます(写真下中)。
 この足踏みは、生地に急激な力(変形)を加えずに捏ねることになるので、グルテンを破壊することなく形成展開させる、 極めて有効な方法なのです。

足踏み前 足踏み 足踏み2回目前
足踏み前 足踏み 足踏み2回目前

捏ね終わりの成形生地  足踏みして生地が扁平になったら、シートごと全体を裏返して下さい。 ビニールシートが捩れて皺が出来ている場合があるので、皺の上からまた足踏みして全体を平らにします。

 次に、延ばした生地を縁から内側に折り込むようにして餅状に成形するか、または右上写真の形に成形して、 ビニール等の袋に入れて寝かせますが、ここで寝かせた後、次の延ばし工程に入る場合は 熟成時間を1時間以上とります。 延ばしに入らず再度足踏みをする場合は続けて足踏みして下さい。ここでの繰り返しは1~2回で2回を限度とします。
 さらに足踏みをする場合は、生地が硬くなってるので一旦30分程度寝かせてから行ってください。

最後の寝かしの成形は、掌で押して平たい餅状に丸く(写真右)、 または平たい四角状に成形します(最終の延ばしで四角形にするには、この方が楽に出来ます)。 出来るだけ平らに成形することで、熟成後の麺棒での延ばしが容易になります。

熟成2(延ばしに備えて)

 本捏ねを終わった生地は、次の麺棒での延ばし工程に備えて、生地を寝かせ(熟成させ)ますが、 この熟成には充分な時間をとります。冷えないようにして1時間以上寝かせます。

寝かし時間が長すぎると、生物的、化学的変化が目立つようになるので、 生地温度25℃以上では、時間は2時間止まりです。 取りあえず1時間以上寝かせたら、麺棒で延ばしましょう。生地温度が低いと緩和が遅れ、より長い熟成時間が必要になります。

延ばし

1丸出し
 いよいよ麺棒を使って延ばしに入ります。
 のし板に打ち粉を軽く散布して、袋から取り出した生地を、折り目を上にして置き、麺棒で抑えて平らにして、 さらにめん棒を抑えながら転がして生地を平らに延ばします。 生地を回して上下を入れ替えて、生地を平均に丸く延ばします。

2角出し
 まず四角の原型を作ります。

手順1  麺棒に巻ける大きさに生地が広がったところで軽く打ち粉をして、生地を手前から麺棒に巻き取ります。 ここからは、麺棒を前に押し転がし、引き戻し、また前に押し転がす、 この操作を数回繰り返すことで生地を延ばし広げて行きます。
 前に転がす時は、右図のように掌の付け根の方で生地を抑えて、下方向に引き延ばすように力を加えながら前方に転がします。 角だしの際は、両手で生地の中央部を押さえて転がします。転がしと引き戻しを数回繰り返したところで、 麺棒を巻き替えます。巻き替えは3回行います。

手順2  最初の巻き替えは、麺棒を180°廻して左右を入れ替えて、生地を下から上に広げます。 そして改めて生地の下側から麺棒に巻きます。これで生地の上下を入れ替えて巻いたことになります。 そして押し転がしと引き戻しを数回繰り返します。

手順3  2回目の巻き替えは、麺棒を90°廻して縦にして横に生地を広げます。 そしてやはり生地の下側から麺棒に巻きつけます。これで生地の縦と横を入れ替えたことになります。 押し転がし引き戻しを数回繰り返します。

手順4  3回目の巻き替えは、手順2と同様に麺棒を180°廻し左右を入れ替えて生地を下から上に広げ、 あらためて下から巻きます。押し転がし引き戻しを数回繰り返します。 これで生地を上下左右に一通りのばしたことになります。
ここで、生地を斜めに上から下に広げると四角の原型が出来ています。

角出しで生地を広げすぎると、中央部のうどんが細くなります。生地が軟らかい時は広げすぎにならないよう注意して下さい。 麺棒の引き戻しは、位置をもとの位置に戻す操作であると共に、 延びて緩んだ生地を麺棒に巻き締める操作でもあるので、押えたまましっかり引き戻すようにしてください。

丸出し1 video 丸出し2 角出し1(下から巻く) video 角出し2 中央部を押す
角出し3 左右を変え上に広げる 角出し4 下から巻く 角出し5 横に広げる 角出し6 下から巻く
角出し7 中央部を押す 角出し8 180°廻して上に広げる 角出し9 最後は斜めに広げる 本延ばし1(下辺から巻く) video

3本延ばし
角だしが終わったら続いて本延ばしをします。ここで予定の厚みにまで生地を延ば(薄く)します。
角出しで出来た丸みのある四角の生地の一辺から麺棒に捲き、角出しと同じように押し転がし引き戻しを数回繰り返します。 麺棒を巻き替える手順も角出しと同様に行います。

角出しでは中央部を抑えて転がしましたが、本延ばしでは、 手の位置は生地の両端を抑えて転がす ようにします。これにより、延ばし足りない両端が延びて、形がより四角形になります。

本延ばし2  両端を押す 手順3 左右入変え上に広げる 本延ばし4 横に広げる 本延ばし5 終了

4生地の厚み
最終の生地の厚みは、2.0mm(細うどん)~4.0mm(太うどん)程度にしますが、 厚みは厚み計がないと測れないので、慣れるまでは広げた大きさを目安にして下さい。 広げる大きさは、小麦粉を500g使った場合は、厚み2.5mmで一辺が50cm、 厚み3.0mmのときは46cm程度の正方形にして下さい。
私が作ったものですが、小麦粉量と生地の厚みの表を参考に掲示します

小麦粉使用量と生地の大きさの表

原料粉 厚み1.5mm(そば) 厚み2.0mm(そば・うどん) 厚み2.5mm(うどん) 厚み3.0mm(うどん) 厚み4.0mm(うどん)
100g 28.4cm(32cm) 25.0cm(28cm) 22.4cm(25cm) 20.4cm(23cm) 17.4cm(19.6cm)
300g 49cm(55cm) 43cm(49cm) 39cm(44cm) 35cm(40cm) 30cm(33cm)
400g 57cm(64cm) 50cm(56cm) 45cm(50cm) 41cm(46cm) 35cm(39cm)
500g 63cm(72cm) 56cm(63cm) 50cm(56cm) 46cm(51cm) 39cm(44cm)
1.0kg 90cm 79cm 71cm 65cm 55cm

(数値は四角形の一辺の長さ、カッコ内は円形の場合の直径を示している)

1ポイント  生地量と延ばした生地の厚み及び面積の関係式は下記のようになります。
[生地量=生地面積*厚み*生地見かけ密度]
上の四角例で厚み2.5mmにしたい場合、原料粉500g生地の計算は [水と塩が加わった生地量735g=面積cm2*厚み0.25cm*密度1.2] から、正方形の一辺は49.5cmとなります (円形の場合は直径55.8cmになります)。 なお、密度1.2は経験値で状況によって多少変わりますが、 一定として使ってください。

包丁切り

 生地に十分に打ち粉して、100~120mm幅程度に前後に屏風折りして畳みます。これで4枚重ねになります。
右端からこま板を生地に乗せて、めん切り包丁をあてがって、 生地に対し包丁を垂直に僅か前へ押し出すようにして押し切ります。

 めん切り包丁がない場合は、一般の家庭の包丁で切って下さい。 この場合は小間板も不要ですが、一本ずつ丁寧に切って下さい。

 包丁切りは、太めのうどんは5mm幅、細目で3mm幅が目安です。 夏期は、冷たいざるうどんが美味しいので細目に、 冬期は、釜揚げうどんや煮込みうどんのように熱々で食べるので太めにします。

切り終わったら、麺の生地は麺の線に変身、つまり生うどんが出来上がっています。 しかし、このままでは、切り口がくっついてしまうので、 適当に打ち粉して、麺線と麺線がくっつかないようにして束ねておきます。 この動作を、麺線を捌くといいます。
 初めのうちは、包丁切りに時間がかかるので、切り終わった頃には、 最初の方は麺線がくっついてしまいます。従って、捌きは早めに行って下さい。 この場合では3~4回に分けて切った分だけ先に捌くとよいでしょう。

video たたみ 
video 包丁切

1 真直ぐ下に押し切る 2 包丁を傾け小間板をずらす 3 捌く1 4 捌く2

茹で水の調質

 茹でに入る前に、茹で水の水質調整について説明しておきます。 材料としての水(注)の項でも説明しましたが、茹で水のアルカリ度が高いと茹で溶け(煮崩れ) が多くなります。この結果、食感も劣化します。 (注:Yahoo!ジオシティーズのサービス提供が終了したため、閲覧できません。)

茹で溶けがひどいかどうかの判断基準は、茹で汁の濁り具合、 うどんの角立ち(角が崩れて丸くなっていないか)、表面の艶等です。気になるようでしたら、最初は 水1リットル当たり食酢小さじ1杯程度(4、5g)から、 梅干なら大粒(14g程度)果肉1/3から始めて様子を見て下さい。

因みに、アルカリ度50ppmの水(厚木の水道水)を使う場合は、 酢ならば1リットル当たり小匙1杯が適量であり、梅干なら大粒1個(ほぐして種ごと入れる)で4リットルを調質できます (飲料水のアルカリ度としては、50ppmは決して高い方ではありません)。

pH試験紙が使える場合は、沸騰水の湯冷ましのpHを計って下さい。恐らくpHは8以上あるでしょう。 これに食酢または梅干を加えてpHを6~5までさげます(中性はpH7.0ですが、うどんには不適です)。 これで必要な量がわかるので、同じ水であれば次回からは、水量に応じた量を予め加えておけばよいのです。

1ポイント  pH7.0の中性がよくないのはおかしく思うかもしれませんが、本来の小麦粉生地のpHは5.5~5.8であり、 このpHで生地(グルテン)の結合力は最も強いのです。 pHがこれより高くても低くてもグルテンの結合力が弱まります。小麦粉生地のpH緩衝能は高いのですが、 大量のアルカリ度の高い茹で湯に曝されることで、うどん表面のpHが上昇し茹で溶けにつながるのです。 左図はpHとグルテンの結合力(溶出量)の関係を示すものです。

茹で

手打ちうどんづくりの最終段階です。茹でにはいります。

1ポイント  包丁切りした生うどんは、必ずしもしすぐ茹でる必要はありません。 茹でるまでに時間が空くときはしっかり打ち粉して冷蔵庫に、乾かないように容器にいれて保存してください。 しかし長時間保存すると、色が変わって黒ずんで来るので、1日(24時間)以内には茹でるようにして下さい。

そばの場合は、挽きたて、打ちたて、茹でたての三たてが大切と云われます。 うどんの場合は、そばほどではありませんが、茹でたてが最も大切で、挽きたては全く意味をもちません。 打ちたてを茹でた場合の食感が、最も締まって硬いものになります。

生麺の量は、全くロスが無ければ、小麦粉300gの場合441g(夏期42%加水)になります。 最初にどれだけ茹でるかを決めます。三、四人分ならこれで十分です。
 鍋に湯を沸かしますが、湯の量は、生うどん100グラムに1リットルを目安にします。 従って、441g全量を茹でる場合は4リットル以上の湯を使って下さい。 大きめの鍋を十分の火力で使う事は、うどんを美味しく茹でるための必要条件の一つです。

湯が沸騰したら、麺をほぐしていれます。しばらくしてから(30秒ていど)箸でゆっくりかきまぜます。 再沸騰したら、軽く沸騰が続く程度に火力を弱めます。鍋の蓋は、開けておくか、吹きこぼれない程度で半分かけます。 ときどき箸で軽く混ぜます。
 茹で時間は、麺の太さと、好みによりますが、10分を目安にして下さい。

1ポイント  茹で時間とうどんの太さの関係ですが、茹で時間は太さの2乗に比例します。 太さが2倍だと茹で時間は4倍かかります。
 沸騰中の熱水にうどんを入れると、太いうどんでも30秒以内で中心まで80℃以上になります。 この時点でうどんは硬直状態になります。30秒でα化しているので、栄養的には可食状態ですが、 うどんとしては硬くて食べられません。

 大きな鍋が無い場合は、どうしても湯の量に対して麺の量が多くなり勝ちです。湯が少ないと、 湯が粘って茹だりが悪くなる上に、うどんに残る食塩の量が多くなり、しょっぱいうどんになります。 やむを得ずこうなる場合は、湯をつぎ足して少しでも湯が多くなるようにして下さい。 湯量が十分あれば、加えた食塩の80%近くは茹で湯に溶けだします 茹でうどん表面と中心部のグルテンネット

原材料の水の項で説明したように、水のpHが高いとグルテンの結合力が弱まり、グルテン繊維は切れやすくなるので、 茹で液中への溶出量が多くなります。茹液のpHは、6.0~5.5であれば茹で溶けも少ないのですが、 7.0では中性ですが意外なことに茹で溶けが多い最悪の状態になります。

水洗い

茹で上がったうどんは、そのまま釜揚げで食べる以外は、ざるに空けて湯を切り、水を張った容器に入れて、 冷やすと共にもみ洗いして、ぬめりを取ります。さらに、水を替えて同様の洗いを繰り返します。

 ざるうどんの場合は、このうどんの適量をざるに盛り、めんつゆを添えて食べますが、 この時の仕上がりの温度が食感に大きく影響します。好みもありますが、適温は20℃位です。 冬は、水温が低いので冷やし過ぎになり勝ちです。温度が低いと、うどんは硬くなります。 うどんは、冷や麦など細ものに較べ太いので、15℃以下では、うどん本来の美味しさは味わえません。

水切りしたうどんは、そばと同じようにのびるので、時間をおかずに食べてください。 やむを得ず時間をおく場合は、冷水で出来るだけ冷やして(10℃以下が望ましい)冷蔵庫で保存してください。

1ポイント  茹でたうどんは、温度が低いほど伸びも遅くなります。冷凍保存する手もありますが、 食品スーパー等で売られている冷凍うどんは、茹で上げ直後に5℃以下に水冷して、急速冷凍したもので、 茹で上げ直後の食感が残っていますが、家庭の緩慢冷凍では、グルテン繊維が切れて、 ボソボソと切れやすいうどんになります。

水洗いせずにそのまま食べるのを、釜揚げうどんといいます。さらに鍋で煮込む場合は、いったん水洗いしたうどんを使います。 寒くなってきたら、釜揚げうどんがよいでしょう。その場合は、茹で過ぎにならないように注意して下さい。

保存

うどんを美味しく食べるには、茹でたらすぐ食べるのが原則ですが、 たくさん茹でて余った場合や事情で食べるのが後日になる場合など、やむを得ず冷蔵庫に保存する場合もあります。
そういう場合は、冷たい水で繰り返しよく洗った後、水をさっと切って(時間をかける必要はない) 清潔な容器(ビニール袋など)にいれ封をして冷蔵保存して下さい。4,5日は保存可能です。 この場合の冷凍は、品質を損ない、うどんが切れて短くなり易くなるので避けてください。

後日、このうどんを食べる時は必ず十分に再加熱して下さい。冷蔵中にうどんが老化(澱粉がβ化)しており、 そのままではボソボソで不味くて食べられません。 勿論、再加熱しても伸びたうどんの再加熱なので茹で立てのうどんにはなりません。
再加熱の場合の一般的な食べ方は煮込みうどんですが(柔ら目のうどんになるが、 うどんの素性がよければこれも結構おいしい)、私は焼きうどんを好んで作ります。

1ポイント  焼きうどん作りの注意点。
難しくありません。油を引いたフライパンに、保存しておいた茹でうどんを塊のまま乗せ、 中火で焦げるまでしっかり焼きます。焦げたら裏返して焦げるまでしっかり焼きます。こうして火(熱)が通ると、 うどんが解れてバラバラになるので、別に用意した具類とあわせ味付け(めんつゆがよい)します。

生めん(茹でる前のうどん)で保存する場合も考えられますが、加熱していないので冷蔵しても変化が起こり、 うどんが黒ずんできます。生めんの冷蔵保存は、せいぜい1日程度にして下さい。 生めんは、茹でめんと違って、水分が少ないので家庭用の冷凍庫でも冷凍保存が可能です。 包装して冷凍保存すればかなり長期の保存が可能です。